AlexandriteOS 3.00リリースノート

AlexandriteOS 3.00リリースノート

2022/04/04

このリリースには延べ4ヶ月近くに及ぶ作業の成果が組み込まれています。3.00はセキュリティ、パフォーマンス、UI、使い勝手、信頼性などあらゆる点で2.00よりも優れており飛躍的に進化しています。

セキュリティの強化

・カーネルロックダウンが標準で有効化されています。


・Yama LSMが新たに標準で有効化されています。

パフォーマンスの向上

・Gnome42の新機能により基幹部分での処理が改善されました。


・ブートプロセスが見直され、起動が高速になりました。


・CPUのマイクロコード(AMD・Intel共に)が追加され、パフォーマンスが改善されました。


・動画再生時にハードウエアアクセラレータを使用するようになりました。

信頼性の向上

・PackageKitは標準で無効化されました。PackageKitはユーザーの操作を妨害し時々システムを破壊します。


・zypperの「パターン」機能を利用してパッケージをプリインストールするのを廃止しました。これによりアップデートで消したはずのプリインストールソフトが復活したり、余計なパッケージがインストールされることが防止されます。


・GRUBエントリーからリカバリーモードを利用できるようになりました。systemdのレスキューモードで起動します。


・Btrfsが標準のFSになり、システムのロールバックが可能になりました。

デザインの改善

・libadwaira風のGtk3テーマを標準にし、非libadwaitaソフトウェアとlibadwaitaソフトウェアの見た目の差を軽減しました。


・GRUBのテーマと起動画面が進化しました。


・ロゴが @kr-tukimi さんが作成したエレガントなロゴに変更されました。


・デスクトップ、ラップトップ、タブレットなどあらゆるデバイスで使いやすいデスクトップへと進化しました。
デスクトップユーザー向けに画面左上には伝統的なスタートメニューが配置されています。
タッチパネルやマウスパッドのジェスチャー(デスクトップの何もない部分を3本の指で下にスクロール)を使うと全画面のアプリ一覧が出てきます。
キーボード派の人間のためにsuperキーからのアプリ検索も使用できます。(スーパーキーを押すとGnome3のアクティビティ画面に移行します。そこで任意のキーをタイプして検索を開始できます。)

・Plymouth表示前に表示されていた余計なメッセージが消され、スッキリとした起動画面になりました。

Gnome42の変更への追従

geditgnome-terminalはそれぞれgnome-text-editorconsoleに置き換えられました。


・libadwaitaの導入に伴い、gnome-tweaksを削除しました。後からインストールすることも可能ですが、テーマはレガシーアプリケーションにしか適用されません。これはlibadwaitaソフトウェアとそうでないソフトウェアの見た目に乖離が生じることを意味します。

その他変更

gnome-extensionsが削除されました。これはプリインストールされている拡張機能がユーザーがインストールする拡張機能の動作に影響を及ぼし、結果としてグラフィカルシェルが不安定になる可能性があることが理由です。(最悪の場合gnome-shellがクラッシュします) もちろん必要なパッケージをユーザーがインストールすれば拡張機能を追加することも可能です。が動作の保証はできません。

なおセキュリティと使いやすさの観点から、拡張機能を任意に追加したい場合はブラウザのアドオンからではなく以下のソフトを使用することを推奨しています。

Install Extension Manager on Linux | Flathub

Browse, install, and manage GNOME Shell …
flathub.org

・ビルドシステムとインフラの改善により大半の独自ファイルがパッケージ化されたため、積極的なアップデート配布が行えるようになりました。

・デフォルトのシェルがfishになりました。強力な補完機能が使えます。

既知の不具合

AlexandriteOS 3.00に採用されているGnome42は従来のバージョンと比べかなり大規模な変更が行われています。これが原因となる不具合が多少残っています。アップデートで改善される予定です。

・ファイルマネージャーのパスのバーを右クリックして「新しいウィンドウで開く」を選択するとファイルマネージャーがクラッシュします。上流に報告済みです。

・ファイルマネージャーでsambaサーバーにアクセスした際、パスワードを誤っているとセグメンテーション違反でファイルマネージャーがクラッシュします。既に報告済みのようです。

・設定画面の「共有」タブを開くとセグメンテーション違反で設定画面がクラッシュします。gnome-control-centerの仕様上では再開時に前回開いていたページと同じページを開こうとするため、以降セグメンテーション違反で設定画面が開けなくなりますが。デスクトップを右クリックして「ディスプレイの設定」を2回開こうとすることで回復できます。これはgnome-control-centerの不具合で、現在修正パッチが上流で準備されています。

・環境によって、インストール時にディスクのパーティション作成に失敗する場合があります。数回試しても駄目な場合、Gpartedとインストーラーで適切なパーティションを手動で作成、選択することで回避できます。

またプログレスバー下の表示(コピーされたファイル数 / 総ファイル数)の総ファイル数が処理が進むのに連動して後から伸びるというクレイジーな不具合があります。これは特に動作に影響を及ぼすことはありません。どちらもcalamaresの不具合ですので、こちらで修正することはかなり難しいです。

不具合ではない仕様

AlexandriteOSでホームディレクトリ下のディレクトリ名が英語なのは仕様です。

これは日本語がパスに含まれていると一部のアプリケーションが正常に作動しないこと、ターミナルでの操作がしにくくなることが理由です。ただし副作用として、ファイルマネージャーのサイドバーが英語になっています。アイコンがある上に簡単な英語なので操作の支障にはならないと判断していますが、このままだと気分がよろしくないので今後なにか対策をする予定です。

・VirtualBoxなどの仮想化ソフトウェアを使用している場合、画面が正常に描画されません。

これはVirtualBoxなどの一部の仮想化ソフトウェアが標準で非常に低い解像度をデフォルトで強制すること、及びグラフィカルシェルがソフトウェアレンダリングになることが主な理由です。画面が小さすぎる場合、 デスクトップ右クリック→ディスプレイ設定 から解像度を変更できます。

これに関しては私や上流に不具合として報告されてもどうすることもできないので仮想化ソフトウェアのベンダーに問い合わせてください。

・インストール時に表示されるスライドがぼやけている

これはスライドを作成したソフトウェアの仕様です。次回からは別のソフトにしようと思います。

最後に…

このリリースはかなりの自信作です。もし不具合を見つけた場合、TwitterかGitHub、Ablaze Supportまで報告してください。アップデートで可能な限り修正します。

最後になりましたが上流で不具合報告に対応してくれた方、AlexandriteOSで使用しているOSSの開発者や貢献者の方々、ロゴを作ってくれたkr-tukimiさん、TwitterやGitHubで不具合を報告してくれた方、そしてAlexandriteOSのユーザーに心から感謝申し上げます。